排卵障害
排卵とは女性の卵巣から卵子が排出されることをいいます。排卵は月経周期に1度だけ起こり、この排卵日を境目にして基礎体温では低温期と高温期がわかれることになります。
排卵された卵子が精子と1つになることを受精といい、受精卵が子宮内膜に張り付くことを着床といいこのときに妊娠したと定義されます。
*不妊治療ガイダンス第3版から引用
排卵障害とは何かしらの異常が原因で、排卵がうまくできない状態をいいます。卵子が排卵されなければ精子と出会うことはなく、決して妊娠することはありません。
排卵障害は女性の不妊原因の中でも最もありがちで、その原因のほとんどは「ホルモン」が関与しています。排卵が全くない「無月経」のほかにも、月経周期が乱れている「生理不順」も排卵障害に当てはまります。
排卵障害の原因には、大きく別けると心因性のものと内分泌性のものに区別されます。日常生活での、ストレスや重圧、極度の緊張、無理なダイエットや不規則な生活は排卵障害の原因とされています。
女性のカラダは繊細にできていて日常の「ホルモンバランス」を崩すことで、排卵が起こらなかったり月経不順になることがあるのです。
また内分泌のバランスが悪くて排卵障害が起こることもあります。妊娠に関わるホルモンは主に「視床下部」「下垂体」「卵巣」という3つの場所でお互いにバランスを取っています(フィードバック)。
しかしこれらのどこかのホルモンが少なすぎたり多すぎたりすると、お互いの関係が崩れてしまうのです。
これらの内分泌異常でありがちなのは、「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」、「高プロラクチン血症」と呼ばれる疾患です。
PCOSでは下垂体から分泌される、「LH(黄体形成ホルモン)」が高値になってしまい排卵障害が起こります。また高プロラクチン血症では同じく下垂体から分泌される「プロラクチン」が高値を示して、ホルモン異常が起こってしまうのです。
この他にも視床下部や卵巣の感受性が悪かったり、どこかのホルモン分泌が正常に行なわれないと、いずれも卵胞が育たない、排卵が起こらないといった症状が起こりやすくなります。
排卵障害の自覚症状は月経不順があげられます。また基礎体温を測っていれば、低温期と高温期が存在しないで1相性となることが多いでしょう。
排卵障害の治療
排卵障害の治療には「ホルモン療法」が必要になります。排卵が行なわれないことには、妊娠はありえません。そこで「排卵誘発剤」と呼ばれる薬を月経周期の5日目あたりから5日間服用して、卵胞(卵子の入っている袋)を人為的に成長させてやるのです。
排卵誘発剤にはクロミフェンなどの飲み薬と、hMG-hCGの注射薬があります。
クロミフェンとは経口製の排卵誘発剤の総合的な名前を指していて、1番広く処方されているのは「クロミッド」という商品名の薬です。不妊治療をしている人は、「クロミフェン」よりも「クロミッド」という言葉のほうがしっくりとくるかもしれません。
クロミフェンにはクロミッドの他にも、セロフェン、オリフェン、フェミロンなどの名前の薬がありますが、これらはどれも同様の効果を持ち、商品名によって薬の効き目に違いがあるわけではありません。
クロミフェンを服用することでほとんどの場合は排卵が起こるようになりますが、重度な排卵障害のケースでは「hMG-hCG療法(ゴナドトロピン療法)」という強力な排卵誘発法が選択されるようになります。
hMG-hCG療法とは、卵胞期(排卵前)にhMG注射することで卵胞を育てて、卵胞が大きくなったらhCG注射して卵を排卵させる治療法です。
クロミッドやhMG、hCGの作用や副作用については、不妊用語辞典(このページの右側にも個別で掲載)で説明していますのでこちらも参考にしてみてください。
